イベントレポート

人類学ゼミ「フィールドから揺さぶられるとき」トークイベントレポ

※ この記事は、イベントの内容を要約したものではなく個人的な感想です。

こんにちは、ビジュアルコミュニケーション研究員のオザワです。
今回は、合同会社メッシュワーク主催「フィールドから揺さぶられるとき」メッシュワーク人類学ゼミ第1期生プレゼンテーション/トークイベントのレポート。

イベントの紹介

開催日時:2023.2.24/25/26
場所:東京都目黒区メッシュワークオフィス
概要:人類学社会人ゼミのフィールドワーク成果発表
https://meshwork.jp/presentation

自ら現場に足を運び、目の前の他者やできごとと関わるなかで、小さな気づきを得ていくプロセス。現実の複雑さに直面し、戸惑いながらも思考し、ものの見方が変容していくプロセス。

人類学的なフィールドワークとは、こうした紆余曲折のプロセスを経て、日常を別の角度から照らそうとする試みです。それは私たちが働くこと、生きることに対しても、多くの示唆を与えてくれます。この半年間、社会人受講生たちが取り組んできた個別のプロジェクトは、少しでも世界をわかりたいという意欲に溢れています。会場の展示、トークイベントや受講生との語らいを通じて、それぞれのフィールドワークの手触りを感じていただければ幸いです。

合同会社メッシュワーク

イベントに伺った経緯

都内でグラフィックレコーディングのお仕事があった帰りに、私の学生時代にグラフィックレコーディングを教えてくれた先生が、こちらのイベントに顔を出すとツイートしているのを発見。
たまたま場所が近かった事と、持ち前のネトスト魂で、夜のトークイベントにお伺いさせていただきました (笑)。

私は文化人類学という分野に関して全く知見がなく、不純な気持ちで参加した2時間のトークイベントをどうしたら良いものかとソワソワしていたのですが、トークイベントが始まってみると、大変深く興味深い内容で、非常に濃い時間を過ごすことができました。

イベント中に思ったこと

「他人を本気で理解しようとするとこんなにも複雑なんだ…」というのが、トークイベント中に終始抱いていた思いです。

展示されたフィールドワークの記録は、数十〜数百ページにわたりギッシリと密度があるにもかかわらず、殆どの発表者はその「答え」をその場で結論づけることはせず「分かってくると分からないことが増える」とコメントしているのが印象的でした。

発表は、モノの扱い方から対象者の仕事観・人生観を探る方や、ソフトボールチームのコーチが選手同士の声かけを記録し発言の意図を探る方、シェアハウスのリビングでの会話から居心地の良さを考える方など様々でした。

中でも『透明な観察者では分からないことがある、相手の見ている世界を自分の主観に取り込み、自分自身を観察することで相手を知れる』という発言に壇上の方々が強く共感し合っている場面があり、他人への興味が薄い私には、決して到達できなかったであろうアルアルに面白さを感じました。

他にも、例えば『相手をより深く観察することで「レッテル」のようなものが剥れて、より良い関係を築くキッカケになった』と語る方もいれば、『集団をより深く観察することで個々に「レッテル」が生まれ、相手の言動に予想がつき始めたことで、人間関係が円滑になった』と語る方もいました。

やはり人間は、一筋縄には理解できないなと感じながらも、ぼんやりと共通点や法則のようなものが見え隠れする、大変興味深い2時間でした。

このイベントから得た知見

内容が複雑で、即効性のあるスキルが身につくがというと難しいものがあったのですが、私も『この人を知りたい!』と考えたときに試してみたいなと思った方法が3つ。

〇〇しながら録音

一緒にご飯を食べながら、何かを触りながらの会話を録音すると、自分の色眼鏡を外したコミュニケーションを記録できるという方法。インタビュー形式でメモをすると、無意識に色眼鏡をかけた質問・回答の汲み取りになってしまうようです

録音を手書きで書き起こし

録音データをPCではなく、手書きで書き起こすことで、2回目の対話をおこなっている感覚になるという方法。手書きのスピードは脳が整理しやすいとよく言われますが、相手の言葉をもう一度冷静に理解したい時にかなり使えそうです。

写真を模写

対象者の見ている景色や過ごしている環境を写真で撮り、模写していくという方法。描いていく中で生まれる「ここってどうなっているんだろう」という絵描の観察が、より対象者の行動の解像度を深めていくようです。

おわりに

ひょんなことから伺ったトークイベントでしたが、来年もぜひ行きたい、本当に面白いイベントでした!

今回聞いた内容を、このサイトの運営やデザイン制作に活かせれば、2段階くらいキャリアが上がりそうなものですが…なかなかかなり難しい。。
これを機に他分野の研究発表にも行ってみたいと思います。可視化のテクニックはデザイナーだけの分野ではなく、シェフの盛り付けや空手の型、もっと目には見えない分野にもあるなと思っていたので。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

オザワタクヤ

オザワタクヤ

フリーランスのデザイナー / イラストレーター。 非常勤講師やアートディレクター、スプラトゥーン等もしています。

関連記事

TOP